クロノス / Kronos,Cronus / ゼウスの父、時を司る農耕神
Greek KronoV Latin Cronus Saturnus transliteration Kronos Cronus Cronos Saturn クロノス
ガイアはまず星輝く天(ウーラノス)を産んだ。ガイアと大きさ等しく、天はガイアを全ての側から包み込み、聖なる神々に永遠の地を約束した。ガイアは続き、丘の谷間に住むニムフたちに優美な社交の場となるべく延々と続く丘陵(ウーレアー)を生み出した。ガイアはまた、甘美な性の営み無くして荒れ狂う大波をもたらす生き物も住まない深淵ポントスを産んだ。後にガイアはウーラノスと交わり、深く渦を巻くオーケアノスを、コイオス、クレイオス、ヒュペリーオーン、イーアペトス、テイアー、レイアー、テミス、ムネーモシュネー、金の冠ポイベー、そして愛らしいテーテュースを産んだ。その後、ガイアの末子にして最も劣悪、狡猾なクロノスが産まれたが、クロノスは強壮な父を憎んでいた。[Theogony 126-138]
ウーラノスはガイアとの間にティーターネス(ティーターン神族)――オーケアノス、コイオス、ヒュペリーオーン、クレイオス、イーアペトス、そして末子クロノスをもうけ、ティーターニデースと呼ばれる娘――テーテュース、レイアー、テミス、ムネーモシュネー、ポイベー、テイアーをもうけた。[Apollodorus 1.1.3]
ガイアはタルタロスに投げ込まれた我が子の行く末を案じ、ティーターンたちに父ウーラノスを襲うよう説き、末子クロノスに金剛の斧を与えた。オーケアノス以外は父を襲い、クロノスが陽物を切り落とし海に投じた。流された血の雫から復讐の三女神――アレークトー、ティーシポネー、メガイラが生れた。そして父を支配の座から退け、タルタロスに投じられた同胞らを引き上げ、主権をクロノスに委ねた。[Apollodorus 1.1.4]
しかしながら、クロノスは再び巨人たちを縛ってタルタロスに幽閉し、姉妹レイアーを妻とした。ガイアとウーラノスがクロノスの子に支配権を奪われるだろうと予言したため、クロノスは生れてくる子供たちを呑み込んでしまった。まず初子ヘスティエーを呑み込み、続いてデーメーテール、ヘーレー、ハイデース、ポセイドーンを次々と呑み込んだ。[Apollodorus 1.1.5]
ゼウスを身篭っていたレイアーはクロノスの行為に怒ってクレーテー(Krêtê,Crete)に赴き、ディクテー(Diktê,Dicte)の洞窟でゼウスを産んだ。レイアーはクーレーテスらと共にメリッセウスの娘ニムフのアドラステイアーとイーデーにゼウスを預け育てさせた。[Apollodorus 1.1.6]
ニムフらはアマルテイアの乳でゼウスを育て、クーレーテスらは武装して赤子の声がクロノスの耳に届かぬよう槍で盾を打ち鳴らして洞窟の赤子を守った。レイアーはうぶ着に石をくるんで生れたばかりの赤子に見立て、クロノスに渡し呑み込ませた。[Apollodorus 1.1.7]
ゼウスが十分に成長すると、オーケアノスの娘メーティスを協力者とした。メーティスはクロノスに飲み薬を与え、それによってまず石を、次いでクロノスが呑み込んだ子供たちを吐き出させた。兄弟らの助けをもってクロノスとティーターンに戦を仕掛けた。(ティターン戦争,ティタノマキア)戦は十年に及び、ガイアはタルタロスに投じられた者らを味方につければゼウスは勝利を得るだろうと予言した。そこでゼウスは女看守カムペーを殺し、彼らを解き放った。キュクローペスらはゼウスに雷霆と落雷を与え、ハイデースには兜を、ポセイドーンには三叉の鉾を授けた。神々はそれらを身につけてティーターンに打ち勝ち、彼らをタルタロスに閉じ込め、百手らに見張らせた。自らはくじを引き、ゼウスは空の統治権を、ポセイドーンは海の統治権を、ハイデースは冥府の統治権を得た。[Apollodorus 1.2.1]
異説で、クロノスはアイテールとガイアの子とも言われる。[Hyginus,Preface]
クロノスはピリュレーとの間に、ケンタウロス(人頭馬身)ケイローンをもうけた。[Apollodorus 1.2.4]
クロノスは時の神のち農耕神ともされる。原初神クロノスが永遠の時を司るのに対して、ウーラノスの子クロノスが司る時は人が生きるにつれ刻む時を指すのだという。
Sources :
- ウーラノス(Uranus)とガイア(Gaea)はティターン(Titans)と呼ばれる子供たちをもうけた。息子たちは、オーケアノス(Oceanus)、コイオス(Coeus)、クリオス(Crius)、ヒュペリオーン(Hyperion)、イーアペトス(Iapetus)、クロノス(Cronus)、娘たちは、ティアー(Theia)、レアー(Rheia)、テミス(Themis)、ムネーモシュネー(Mnemosyne)、ポイベー(Phoebe)、テーテュース(Tethys)である。ウーラノスとガイアはディオーネー(Dione)という娘ももうけ、彼女もティターンの一人である。―Apollodorus 1.1.3(ディオーネーの記述はverによる?)
- クロノス(Cronus)はピリュレー(Philyra)との間に人頭馬身(centaur:ケンタウロス)のケイローン(Chiron)をもうけた ―Apollodorus 1.2.4